高校の修学旅行、空港でパスポートを紛失した話をします。
海外旅行でパスポートをなくす。話には聞いたことのあるシチュエーションです。しかし、まさか自分がその状況に陥るとは、その瞬間まで夢にも思いませんでした。
私のこれまでの人生において、5本の指に入るくらいの修羅場です。
初めての海外旅行、気合いを入れていざ!
高校の修学旅行の行先は海外でした。ぶっちゃけそれが理由で高校を選びました。
十六歳。それまで、私は海外旅行へ行ったことがありませんでした。
仲のいいクラスメートと「行ったことのある国」の話になったとき、私だけ話せることがなく、肩身の狭い思いをしました。ひとりだけ貧乏人だと言われているみたいに感じて、恥ずかしく思いもしました。
そんな状況だったので、修学旅行の数ヶ月前からそわそわして、わくわくして、どきどきしていました。
英語のホームページをあさり、地図に印をつけました。「こことここに行きたい! これを見たい! これを食べたい!」とイメージを膨らませていきます。
そして、飛行機に乗り、いざ出発。
十時間以上も飛行機に乗り続けるのは、割と体力のいることです。しかし、高校生という若さのため問題はありませんでした。
映画を観たり、数独に挑戦したり、旅行本を読んだり、楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。寝づらい夜を越え、ようやく目的地へ到着。その空港で事件が起こりました。
入国審査のレーン。パスポートが出てこない
飛行機を降り、入国審査に並びます。
パスポートや飛行機のチケットは、出して確認する機会が多いです。そのため、私はポーチに入れていました。学校から配布された、ごく普通のメッシュポーチです。「貴重品はなくさないようにちゃんと管理しようね!」という趣旨で渡されたものです。
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そのため、当然のようにパスポートと飛行機のチケット、あと旅行のしおりなんかを入れて手に持っていました。
荷物検査では、荷物をカゴへ入れます。私は手荷物のカバンの上に貴重品ポーチを載せました。その状態で、レーンに籠を流します。
荷物がカーテンの中にはいり、赤外線か何かでチェックされて、そのまま工場のレーンのように流れて出てきます。
カゴが順番に流れていきます。カーテンを潜り抜けて、出てきた私の荷物。そして、その上にポーチが……ありませんでした。
パスポートがない!
愕然としました。もう、パニックです。
「ない、ない!」「どこ行ったの?」「まさか、盗られた?」「審査のひとに没収された?」「どうしよう、帰れない?」「ってか、入国できない?」
荷物審査を担当しているのは黒人のごつい男性たち。ちょっと話しかけるのが恐いですが、そんなこと言ってられません。友人に「先に行っててね」と言い、レーンの向かい側、赤外線か何かで荷物チェックをしている職員の方々の方へ向かいました。
そして話しかけます。なんと話しかけたか覚えていません。ただ、「English! English!」と言われたことは覚えています。ってことは、話した言葉が英語じゃなかったか、もしくは英語になっていなかったんですね。
関西弁でまくしたてていたのかもしれません。
英語科でもなんでもない平凡な公立高校に通う、英語が苦手な高校生。英語の成績は、だいたい1か2、たまに3でした。5段階で。しかも初めての海外旅行で、入国した瞬間からこの状況です。そりゃあパニくります。
必死で話しかける……が、ダメ!
通じませんでした。おばさん職員さんに連れられて、事務室のようなスペースへ。そこは「忘れ物置き場」でした。
違う、そうじゃない。そうじゃないんです!
必死で訴えますがなかなか通じません。「oh?」って感じのリアクションです。文字通り言語の壁を感じます。
このあたりで、「もしかして、私のポーチは、装置の中で、レーンの下へ落ちてしまったのではないか?」という考えに行きつきました。荷物の上を滑り落ちて、カゴの中ではなく、レーンの上に直接落ちた。そして、レーンの隙間へ行ってしまったのではないか。
そう思うと、少し落ち着きました。盗られたなら帰ってくる可能性は絶望的です。しかし落ちているだけなら、まだ、可能性はあります。
その旨をおばさん職員さんにカタコトで説明して、荷物審査場へ戻ろうとします。その途中で、友人が呼んでくれた通訳さんが到着しました。通訳のお兄さんは、速水もこみちよりもイケメンに見えました。
そして、無事に一件落着
通訳のお兄さんに事情を説明します。通訳さんから審査場の方々に説明してもらい、レーンの下を確認してもらいました。読み通り、貴重品のポーチはレーンの下へ落ちていました。
こうして十数分ののち、無事にパスポートは私の手元へと戻ってきたのです。
ここから学んだ教訓
この経験から、いくつかのことを学びました。
その1 貴重品はカバンにしまおう
何度も出すから面倒、と言わずに、貴重品はカバンへ逐一しまいましょう。開けたカバンから何かが滑り落ちるのを防ぐために、荷物は単独でカバンに入れず、ポーチなどに小分けしておくのがいいですね。
その2 困ったときこそ状況を冷静に見よう
今回、しばらく待って通訳さんや先生に事情を話せば、それで事態は収束しました。忘れ物置き場へ連れていかれることもなかったはずです。
余談ですが、通訳のお兄さんからは「ひとりでなんとかしようと話しかけていって偉いね」と褒められました。暖かい言葉に泣きそうになりました。
その3 海外旅行へ行くなら英語は学んでおこう
その後、修学旅行のしおりを見たら、「こんなときどう言う? とっさの会話集」という特集がありました。そこに、「パスポートをなくした」ときの文例が載っていました。勉強をしておくことって大事です。つくづくそう思います。
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